

自然に対する人間の無力さは、例えば地震災害や大雨、洪水、土石流など、ニュースなどで比較的日常的に頃感じる事が出来る。 しかし、そういう天変地異では無く「一個体として、リアルに野生で巨大で残虐で強力で俊敏で無慈悲で殺傷能力に長け常識など通じない怪物」を丁寧に、淡々と、勇猛に、豪壮に描いた大傑作だと思います。 20年以上も前の作品だとは思うのですが、下手に近代的な言い回しがない分重さを感じ、しかし昔... 続きを読む
Book 発売元 : 新潮社
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小説はすべからく,こうあらねばならないと僕は考えるが、この 『戦艦武蔵』は,冒頭から面白く,作者の物語世界に読者を引き込む。 小説などの,ひとに読んでもらおう,見てもらおうと言う作品には、 必ず、本題の前に,フリが必要だが,このフリを、面白く書くのは 至難のわざだ。作者の吉村氏はいつもそこに心を砕き、どの作品にも、 ダレ場ではない珠玉のフリを用意する。 「どこから書き出すか、どの時点から小説... 続きを読む
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井伊直弼という人物が「開国派」であるとか、果ては「開国の英雄」などと語られる現代においては、桜田事変の意義は全く知られないであろう。井伊は、頑迷固陋な攘夷思想の持ち主であった。尊攘派とは全く異なる、私的な攘夷思想であり、それが安政の大獄となって顕れた。大獄ではどれほど有為の人物が処刑されたであろうか。このことが明治日本にもどれほど深い影を落としたであろうか。現代日本では、皇国史観というレッテルや... 続きを読む
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ひとがひとを動かすのは情熱である、そう感じました。 本書は、ポーツマス条約締結にいたるまでの交渉の過程を詳細に記している小説ですが、 交渉をいかに進めて行くか、というハウツー本としても優良と思います。 このような、国家の行く末をかけた大きな交渉を経験するひとは多くはありませんが、 正否が決まる一点を見据えて、入念に準備と予備交渉を進めて行く過程は、感動的です。 ビジネス書としても、歴史小説... 続きを読む
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黒部第三ダム、完工までの4年を追う。 そんなジャンルはないだろうが、この小説は土木小説の白眉である。 戦前だからこの工事は完遂できたとの思いが強くする。 自然と人間の戦いのドラマと言ってしまえば簡単だが、 この場合人間のほうが明らかに自然を侵しているのである。 その命令をしたのは、国という得体のしれないものであった。 かりに、自然も得体のしれないものだとすると。得体のしれないもの同士の戦いな... 続きを読む
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先ず、太平洋戦争以前に、航空機による戦闘が活発に行われていたことを知って驚きました。 航空機の歴史は、二十世紀初頭1903年ライト兄弟による人類初の発動機付き飛行機による飛行成功に始まります。それからわずか四十年足らず。日中戦争では、国産の爆撃機による重慶爆撃。ヨーロッパから輸入された戦闘機で構成された中国空軍の迎撃。 今までの僕の爆撃機のイメージは、日本中を爆撃する米軍の巨大爆撃機だけだった... 続きを読む
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