

吉村昭『羆嵐』(新潮文庫)読了。 これ、実際にあった熊害事件なんだよねぇ。 大正4年、北海道の開拓地で村民6人(妊婦の腹にいた胎児を含めると「7人」)がヒグマに襲われて死に、3名が重傷を負った。警察や軍隊まで動員しての大騒動になるが、最後に羆を仕留めたのは日頃粗暴で村民に疎まれていた老猟師のここ一番の沈着冷静さだった、という話。 実際の事件に忠実に記述されるが、なぜか羆を仕留めた猟師の名前だけが... 続きを読む
Book 発売元 : 新潮社
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明治二十九年と昭和八年の三陸海岸の地震と大津波、昭和三十五年のチリ地震津波の被害を交通が不便にもかかわらず、バス、汽車を乗り換えながら一ヵ月以上かけて現地取材している。明治の津波被害の生存者は八十五歳を越えて、取材には苦労があったらしい。著者は、四方八方に目が届いた取材となり、自画自賛に近い満足感をあとがきで述べている。 明治二十九年でも前回の安政三年の津波から四十年を経ていて、古老の記憶も... 続きを読む
Book 発売元 : 文藝春秋
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井伊直弼という人物が「開国派」であるとか、果ては「開国の英雄」などと語られる現代においては、桜田事変の意義は全く知られないであろう。井伊は、頑迷固陋な攘夷思想の持ち主であった。尊攘派とは全く異なる、私的な攘夷思想であり、それが安政の大獄となって顕れた。大獄ではどれほど有為の人物が処刑されたであろうか。このことが明治日本にもどれほど深い影を落としたであろうか。現代日本では、皇国史観というレッテルや... 続きを読む
Book 発売元 : 新潮社
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”坂の上・・”で、日露の本を読んだが、 語られない、その後が本書である。 小村寿太郎、彼のような素晴らしい外交官が、日本にはいた。 露の相手は、ウイッテ。ロマノフ王朝末期、極東亜細亜の外交に 逸する事のできない大物だったとある。 もはや、これ以上の戦争ができない軍部首脳が待ちわびていた、 外交による講和である。 小村が、全力を尽くし、無事講和に導くが、 民衆は、正しい情報を与えられず、 戦勝と聞... 続きを読む
Book 発売元 : 新潮社
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青森、秋田、網走、札幌。特に網走の刑務所は脱獄犯ゼロを誇っていました。にもかかわらず、主人公佐久間清太郎は脱獄し、しかも極寒の北海道でサバイバルを成し遂げます。 佐久間の驚異的な知力と体力と胆力に読者は驚きます。この本の狙い目は第一にそこです。しかし作者吉村昭は、戦中戦後の日本がどういう状況だったか、特に佐久間と同じ囚人たちや、刑務所の看守たちに目をつけ、日本全体で彼らにどういう変化があった... 続きを読む
Book 発売元 : 新潮社
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司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」が昭和43年から47年にかけて産経新聞に連載された。一方、「海の史劇」は昭和45年「海と人間」と題して地方各紙に連載発表され、翌46年擱筆されたものでほぼ同時期の作品といえる。読者には二大歴史小説作家の書き比べと映ったのではないだろうか。 二〇三高地の戦いで、御前会議で天皇が旅順要塞より二〇三高地を攻撃して旅順港のロシア艦隊の殲滅を優先すべきと決裁したにもかかわらず、... 続きを読む
Book 発売元 : 新潮社
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