筑摩書房

奇跡を起こした村のはなし (ちくまプリマー新書)

奇跡を起こした村のはなし (ちくまプリマー新書)

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おすすめ度 :おすすめ度:4.0

吉岡 忍

種類 : 新書

高さ : 71hundredths-inches

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筑摩書房

長さ : 677hundredths-inches

ページ数 : 174 ページ

発行日 : 2005-03

出版社 : 筑摩書房

発売元 : 筑摩書房

重量 : 40hundredths-pounds

幅 : 417hundredths-inches

発送可能時期 : 在庫あり。

価格 : 798円(税込)ショッピングカートに入れる


奇跡を起こした村のはなし (ちくまプリマー新書) 購入者のレビュー

あんた達は、恥ずかしくないのか。自分の生き様に誇りを持てるのか。おすすめ度:4

 本のタイトルは、「奇跡を起こした村のはなし」。ノンフィクション作家の吉岡忍さんの著書で、新潟県黒川村について書き下ろした作品だ(筑摩書房 定価760円+税)。そのカバーには、
「豪雪、大水害、過疎という苦境を乗り越え、
 農業と観光が一体化した元気な姿に生まれ変わった黒川村。
 小さな町や村が生き残るための知恵を
 教えてくれる一冊」と書かれている。
 この本を読むと、市町村の長の一念がいかに大事なものかがよく分かる。3時間しか睡眠時間を取らなかったと言われる黒川村の故伊藤孝二郎村長の生き様が、まさに地方自治を生き延びる術を象徴し、理想的な公務員の姿を浮かび上がらせてくる。
 人は、楽に生きたいと望む生き物だ。
 著書の中で吉岡さんは、伊藤村長の座右の銘を「先憂後楽」と紹介している。
 苛酷な自然環境の中で暮らす地域の人々の暮らしをいかに護っていくか、その憂いを払うためにボロボロになるまで身体を痛めつけて奔走した伊藤村長の「後楽」とは何を意味するのか。
 著書の最後に、伊藤村長の跡を継いだ布川村長の言葉が載せられている。

「いま中央から聞こえてくるのは、『小さな村なんか、つぶしてしまえ』という声ばかりですよ。われわれの悪戦苦闘は何だったんですか?」
 2005年夏、黒川村は地図上から消える。となりの中条町と合併し、『胎内市』が生まれることが決まっている。

 この著書を通覧した人は、この現実にいわれのない不条理を実感するだろう。また、その実感と共に、身の回りの地方公務員のていたらくを嘆くに違いない。
 あんた達は、恥ずかしくないのか。自分の生き様に誇りを持てるのか。
 この著書は、そう語りかけているような気がする。


地域を創造する人づくりの話おすすめ度:4

新潟県黒川村が挑んだ地域づくり、人づくりの歴史である。
伊藤村長は多選村長としてかなり有名な存在だった。名物村長が強力なリーダーシップをとりながら、村職員を育て、地域住民にやる気を起こさせている。
数々の施策を打ち出し雇用の場を確保しての、出稼ぎ依存からの脱却はすばらしい。
箱モノづくりではない人づくりとは何かを語る好著である。


ゆれる政策の中でぶれない意志おすすめ度:4

一気に読ませる。日本の戦後史、特に農業政策に関わる流れを一つの村の視点からまとめたような感じがする内容。高度成長期から、バブル前後での変化までまとめられている。初心者向けというこの新書シリーズでは、ふりがなが振ってある。これも好印象。

過疎の村は過保護な財政誘導の政策のためにぼろぼろになり、その帳尻あわせのような「大合併」に翻弄されている。そんなイメージがあった。
この本の中に描かれている黒川村は、そんな政策を活用し人を海外に送り予算を獲得してたくさんの振興策や「箱物」を導入しているが、それを村で生き残るという、ぶれない意志が活用し村としての存続を勝ち得ている。
もちろん、ここに書かれているのとは違った立場もあるだろう。ぶれない意志を具現化したような村長が退いたあとに村長となったものは、前村長の偉業を誤解されたくないという気持ちがあったという。作られたものを活かす意志がなければ、「はこ」しか残っていないと判断されてしまうだろう。そこに、軽薄な報道が絡めば「税金の無駄遣い」とレッテルを貼られてしまうだろう。
しかし、この村が土石流でたくさんの住民を失った歴史、冬場は出稼ぎで働く手がなくなり共同体として存続も危うかった現実、産業を一つ一つ興す中で失敗したり方向転換を余儀なくされたりしながらちゃんとものにしてきた流れ、などを知るとよくやったといいたくなってしまう。
もちろん、現状でも単なる通過点、今後合併してさらに時代が進む中でどのような動きが見られるのか気になっている。